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北欧ヴィンテージ家具ブロガーkanade様に取材いただきました

2021.02.15
北欧ヴィンテージ家具ブロガーkanade様に取材いただきました

人気北欧ヴィンテージ家具ブログ「古く小さく愛しいわが家」の著者kanade様に、モトファニチャーを取材いただきました。
当日は相模原の倉庫兼店舗に来店いただき、モトファニチャーの生い立ちや家具に対するこだわり、今後の展望についてなど、様々な角度からモトファニチャーについて掘り下げていただきました。

はじめに

「北欧家具」、という存在が日本で広く一般の人々にも知られるようになってから、どれくらいが経つのだろう。一時期それはブームとなり、「北欧スタイル」「北欧風インテリア」など、インテリアに興味のある人々を惹きつけ、ファンが急増した時代もあった。
私自身も、そんな流れの中で「北欧家具」に興味を持った一人である。理由はシンプルに「かっこいい」と感じたから。
しかしながら当時の私は残念なことに、北欧家具とミッドセンチュリー家具との区別も識別できず(最初に購入したのはイームズのシェルチェア。イームズの作品はとても素晴らしいもので、その椅子は今も大切にしているが、「北欧家具」ではない、ということはお恥ずかしながら当時把握もできないほどだった…)、リプロダクトも良しとするにわか「北欧好き」で、本当の北欧好きのスタート地点にも立てていない一人だった。
それから幾数年、10余念の月日が経ち…自分の中で「北欧家具」の魅力が少しずつ掴めるようになった今日この頃、今回の取材のご縁をいただいた。
ギャラリーを神奈川県相模原市に構える「MOTO FURNITURE(モト ファニチャー)」さんだ。

モト ファニチャーさんとの出会い

ご縁とは不思議なものだ。
今、私がこのPCを置いているのは、かつて、モト ファニチャーさんで購入したFINN JUHL(フィン・ユール) のDIPLOMAT(ディプロマット) TABLEだ。「ディプロマット」、日本語に訳すと「外交官」となるように、そう言った地位の人が使う机として作られた。幅190cm、奥行き96cmのテーブルは、机としては迫力のありすぎるサイズだが、袖机も作られていることから、当初の目的は机だったということがわかる。相当地位が高い方向けに作られた机に違いない。
当時、わが家はもうちょっと身の丈に合った、コンパクトなダイニングテーブルを探していた。しかし、ふとしたご縁でわが家のダイニングテーブルは、今では採取できないローズウッドが贅沢にあしらわれたこのテーブルに急遽変わったのだった。
購入したのは2016年のこと。もうあれから5年の月日が経っていたのだ。

「さっき、車で(目の前の道を)通られましたよね?」
工房に到着すると、挨拶も早々に、モト ファニチャーのエリアマネジャー、坂本さんから声をかけられた。取材時間はちょうどお昼後。腹ごしらえの前に場所を確認しようと目の前の通りを通ったのだが、それに気付いたそうだ。5年前、少しでも節約になれば、と思い、自分の車でテーブルを迎えに言ったわが家。その時応対してくださったのが坂本さんだった。わが家も当時と変わらぬ車だったため、すぐお思い出してくださったのこと。自分から「(モト ファニチャーさんで)買ったことがあるんです!」と言い出すか迷っていたが、思いがけぬお声がけに、緊張がふっと途切れた。

3名の経営者の方達とのお話

モト ファニチャーさんのギャラリーは工房も兼ねている。取材をする前に、先に2階建ての建物すべてを拝見した。1階はメンテナンス途中やメンテナンス待ちの未来の宝や資材などが所狭しと置かれ、職人さんが手を休ませることなく古い家具に新しい命を吹き込んでいた。そのあと、ギャラリーとなる2階へ。一見、通りから見ただけでは、プレハブの、何か材木を扱っている町工場にしか見えないのだが、それは2階へと登った途端、一気にいい意味で裏切られる。
広い空間の中には、北欧の「名作」と呼ばれる家具たちが広い空間にぎっしりと並べられていた。まさに「壮観」、という言葉はこのためにあるのかもしれない、と思うほどだ。

人から見れば「にわか北欧家具好き」、で、北欧家具に対して深い教養や知識を持ち合わせていない私だか、そんな私でさえ知っている有名家具や、それこそ雑誌の中やWEBの中でしか見たことのない家具が数多く並んでいた。
取材という目的をすっかり忘れ、しばらくの間、数々の北欧ヴィンテージ家具の美しさに陶酔してしまうほどだった。
そして十分に目の保養をさせていただいた後に、モト ファニチャーの方々にお話を伺う運びとなった。

モト ファニチャーの立ち上げ、ネーミングの由来について

今回、お話をお伺いしたのは、代表を務める福本さん、エグゼクティブマネジャーの橋本さん、エリアマネジャーの坂本さんのお三方だ。3名とも、以前は別の職業をしていたとのこと。まず、モト ファニチャーを創業した経緯についてお伺いした。

記者「モト ファニチャーを立ち上げようと思った最初のきっかけを教えてください。」
福本さん「15年ほど前から家具に興味を持ち、個人的にデザインに惹かれミッドセンチュリーデザインやカッシーナのものなどに少しずつ興味を持ち始めました。それから次第に、木の美しさに目が向くようになり…次第と北欧家具に関心が強くなり、北欧家具を中心にコレクションするようになりました。そこから北欧家具を扱う会社を立ち上げようという気持ちになり、9年ほど前に操業を開始、現在の場所では2015年から創業しました。」

記者「橋本さん、坂本さんはどういう経緯で起業に携わったのですか?」
橋本さん「もともと、福本と僕が知り合いで。誘いを受けて興味を持ち、それで僕の友人である坂本を誘いました。」

記者「橋本さん、坂本さんも北欧家具がお好きだったのですか?」
橋本さん・坂本さん「いえ、全く。最初は作家名もわからないままリペア(修理)作業をしていくところから始まりました。それから次第に、デザイナーの特徴や木の素材の美しさ、作りの巧妙さにどんどん興味を持ち、北欧ヴィンテージ家具に対して興味を持つようになりました。」

記者「(笑)。全く興味のなかったお二人が北欧ヴィンテージの世界に引き込まれるとは!なかなか珍しい経緯ですよね?」
橋本さん・坂本さん「そうですね(笑)。でも、ヴィンテージ家具をメンテナンスする際、最初にできるだけ家具を分解するんです。それで家具の構造などを見ているうちに、オイルの種類を調べたり、仕組みの謎解きをするようになったりして、『ああ、こんな風になっていたのか』というような気付きが増え…探究心も芽生え、気が付けば次第と感心を持つようになっていました。」

自然に北欧ヴィンテージ家具を扱うに連れ、全く興味のなかった二人がその世界観に引き込まれていく…。私自身、北欧ヴィンテージ家具が大好きなので身を通して経験しているが、それを熱弁したところで、興味を持ってくれる知人はごくわずかだ。いや、皆無と言っても等しいかもしれない。それに比べて、もともと家具に興味のあったのは代表の福本さんのみ。そこに、坂本さん、橋本さんが次第に関心を持つようになった…。趣味の分野ではない、仕事、という領域において、そんな共感が生まれる…。代表の福本さんの熱意が無ければそれはなり得ず、橋本さん、坂本さんにもそれを受け入れる心がなければまた会社の運営とういう高いハードルは越えられない。モト ファニチャーさんには最初から奇跡が存在していたのだと思わずにはいられなかった。

記者「では、次に『MOTO FURNITURE』というお名前についての由来をお聞かせください。」
福本さん「北欧家具には時代を超えた魅力があると思うんです。家具のみならず、北欧の文化そのものが使い捨てではない、長く使うことが当たり前の価値観からなっているんです。それでその価値観に深く共鳴し…『時を超えたものの精通者』という意味で…」
記者「時を超えたものの…?」
橋本さん「名刺にもあるんですが、英語で表すと『Masters of timeless ones』で…その頭文字がM O T Oだったので…。」
記者「なるほど!本当だ、そう書いてありますね。時代を超える、北欧ヴィンテージ家具の世界ってまさにそうですよね。」
と、とても素敵なネーミングの由来がそこにはあった。
そしてさらに興味深いネーミングにつながる共通項も、教えていただいた。
橋本さん「あとは3人とも名前に『本(モト)』が付くんです。」
記者「(お三方の名刺を改めて見直して…)あ、本当ですね。みなさん、「モト」が付くんですね。すごい珍しい偶然!」
モト ファニチャー、という名前の由来には北欧ヴィンテージ家具の持つ味わいをまさにいい得た意味の他にも、3名の経営者の単なる偶然、とは言えない縁もあるようだ。

モト ファニチャーならではの経営スタイルについて

次に、常時開店、というわけではなく、基本的にアポイントメント制の接客についての理由もお伺いした。
坂本さん「接客は、私か橋本が基本行っています。」
記者「アポイントメント制で、こう言った名作の北欧ヴィンテージ家具のお店、というとちょっと敷居が高いな、というイメージを正直持ってしまうんですが…」
橋本さん「そうですよね、もちろんそう言ったことも考えられると思います。でも、私たちはリペアをしながら接客もしています。逆にいうと、接客をより詳しくできるのはリペアを経験しているから。会話を大切にすることで、お客様の時間を無駄にしない、今を大切にする接客や説明をできる状況にしたいと思っています。」
とのお話だった。確かに私自身も経験があるが、北欧家具のお店を訪れて、(失礼ながら自分より)知識が乏しいかな…と感じる店員さんからは不思議と購入意欲は湧かないし、ものへの興味も薄れてしまう。一方で、じっと束縛されるような接客も息が詰まるのも事実…。
お店の経営体制にも、モト ファニチャーさんのこだわりが感じられる回答だった。

北欧ヴィンテージ家具の取り入れ方、魅力

終始笑い声の絶えない会話の中で、時折垣間見られるお三方の北欧ヴィンテージ家具に対する真摯な眼差し。北欧ヴィンテージ家具好きである私にも、そんな3名の経営者を前にして会話ができるのは至極贅沢な時間だ。
ただ、「北欧ヴィンテージ家具」と聞いて、興味を持つ方は多くいるかもしれないが、その価格やお店の敷居の高さに「自分には無理かも…」と思っている方もいるかもしれない。かつての自分がまさにそうだった。そんな方達に対して、北欧ヴィンテージの家具を生活に取り入れるアドバイスをお伺いした。

坂本さん「どんな北欧家具でも良いから、気に入ったものを思い切って生活に取り入れてみると良いかもしれません。」
福本さん「一つ取り入れると…リピートしたくなる、というか、そこから波状効果が広まって、暮らしに取り入れるきっかけになりやすいと思います。」
その後、雑談の中で、今、メディアから流れるインテリアの背景には、頻繁に北欧ヴィンテージ家具がセットされているということで、私も一緒に盛り上がった。昨今、素敵、と思うような空間づくりには、注意して目を向けると、他の家具に混ざりながらもさりげなく北欧ヴィンテージ家具が置かれているという光景はドラマ、映画、CM問わず本当に多く目にする光景だ。
北欧ヴィンテージ=特別で高価な家具、という視点ではなく、「=素敵な空間、居心地の良い空間を演出する家具」という視点が広まって行くのではないだろうか。

作家家具に対するこだわり、そして使い方

北欧ヴィンテージ家具、と一言に行っても、店舗によって扱う作品は多種多様だ。モト ファニチャーさんは有名作家によるヴィンテージ家具をメインに取り扱っているが、アノニマス(作者不明)と呼ばれる北欧ヴィンテージ家具や、G-PLAN(ジープラン)と呼ばれるイギリスで生産されたヴィンテージ家具も含めて扱う店舗もある。そこで、モト ファニチャーさんが、いわゆるデザイナーズの北欧ヴィンテージ家具を中心に扱う理由もお伺いした。

記者「北欧ヴィンテージと言っても、名作と呼ばれるものから無名のものまでたくさんの家具がありますが、モト ファニチャーさんが作家ものにこだわる理由がもしあれば教えてください。」
福本さん「一言で言えば、『資産価値』です。日本はもとより、欧米、アジア、そして現地でもメディアを通して、ヴィンテージの価値が見直され、当時の家具は貴重となり、価格も高騰しています。投資の一つ、としての考えも貴重な家具ほど宿っていると考えています。」
その一方で、こうも語ってくれた。
福本さん「家具は、使うためのものです。資産価値があるもの、と言いはしましたが、使うからこそ良さがわかり、意味がある。手に入れたからこそには、たくさん使って、長年愛されるものが持つ「本物の良さ」を知ってほしい。」

資産価値のあるものを日常使いする…なんて贅沢なことかと思うが、何世代にも、それこそもしかすれば世代も国境をも跨ぎ、自分の手元にやってきた貴重な存在の北欧ヴィンテージ家具だ。わが家にも多少作家のヴィンテージ家具はあり、坂本さん、橋本さんのお宅でも、それぞれに好きな名作ヴィンテージ家具を置いて生活されているという。確かに日常的に使って、気持ちが豊かになるからこそ意味があるものなのかもしれない。
そんな大切な家具を長く使い続けるために、必要なメンテナンスについてもお伺いしたが、その回答は3名とも同じで、意外なものだった。
「特に自宅のヴィンテージ家具のメンテナンスはしていません(笑)。」「掃除の途中で、もし気が向いて余裕があるような時間があれば、そのタイミングで、ちょっとお手入れするだけで十分です。だって家具ですから。他の家具ってそんなに手入れなんてしませんよね?」と。
私が想定していた答えとは全く違うものだったが、北欧ヴィンテージを愛で、日常に普通に扱っている方たちならではの回答だと、妙に納得し、そして嬉しい自分がそこにいた。

今後のモト ファニチャー、そして北欧ヴィンテージ家具への想い

最後に、北欧ヴィンテージ家具に対する想いや今後のモト ファニチャーさんについてのありたい姿などをお伺いした。

橋本さん・坂本さん「私たちはリペアも接客も行っています。冬場のリペア作業は(水仕事が伴うこともあって)特に辛いです。でも、その先に、お客様を通して人脈が広がり、お客様が当店を通じて繋がることもあるんです。自分たちが渾身を込めた思いが商品となり、気に入ってくれる人がいることもとても嬉しいし、さらにそれが人と人をつなげることは一言では表せない嬉しさです。ストーリーが生まれるきっかけになるということは喜びの一つ。常連さんが増え、『また、モトさんで買いたい』と言ってくださるのはとても大きな喜びです。」

福本さん「もっとたくさんの方に、北欧ヴィンテージ家具の素晴らしさを広めたいと思っています。認知度を高めたいというか。北欧の国々に行くと思うんですが、暮らしがいちいち『洒落ている』んです。街並みも、窓から見える家の様子も。でもその背景には、例えば、路地や外壁のレンガひとつをとってみても痛んだから全て取り替える、というのではなく、修理して長く使い続けていく、という文化が育まれていて。それは元々が洗練されて、使い捨てではない作りがあるからなんですよね。
家具も同じで、50〜60年前のものでも洗練されたものは今でも素敵に使い続けることができる。そういった、自分たちの世代で終わる、すぐ消耗するものではなく、豊かに何世代も使い続ける感覚を日本の方達にも家具を通して知ってもらえたら幸いです。」

予定していたのは1時間弱の取材だったが、お三方の丁寧かつ情熱に溢れた想い、そして時折のユーモアに会話が弾み、気がつけば2時間近く、北欧ヴィンテージ家具の話題、そして北欧の文化がもたらす影響や価値観についてじっくりお話をさせていただいた。

環境問題が政治的なテーマとなり、SDG’sと言った言葉も日常的になった昨今。私たちが未来に向けて、取り組まなければならない環境問題や生活の見直しは枚挙にいとまがない。
しかしながら、こうして取材を振り返ると、北欧の家具や文化はすでに何十年も先にそれを見据え、受け継がれてきた素晴らしい伝統を育んできたものだということが改めてわかった。
北欧の文化や家具や価値観は、世界の先駆け、をすでに何十年も前に言っていたのかも知れない。

モト ファニチャーの方々は揃ってこうも話してくれた。

「日本で北欧家具を巡回させ、使い捨てではなく、だれかの元で長く使い続けられるようにするためにしたい。そのためにもいいものを届けやすく、たくさんの方に使ってもらう手助けができれば」と。

私はまだ、北欧ヴィンテージ家具の世界の扉を叩いたばかりの一人にすぎない。けれど、モト ファニチャーさんのもの、そして家具への想い、という強い絆で結ばれた素敵な経営者の3名と直接のお話を通して、より一層、北欧家具への魅力が深まり、それをたくさんの人に知って欲しいと思った1日であった。

 

記者:kanade様
ブログ:古く小さく愛しいわが家 https://oldlittlehouse.blog.jp/